開かれた議会を

議会を変えた遠隔操作の「紙爆弾」

 鹿児島市議会の議会運営委員会は03年頃まで、何でも議題にできると勘違いしている共産党の議員が"恐怖の新人と女性いじめ"に精を出していた。そのような状況下で共産党の議員が演じた人権侵害事件がある。
  当時、小川みさ子議員(市民派)が共産党議員と九州電力社員の議員(以下九電議員と言う)の非常識・違法な攻撃に遭い、議会運営委員会で孤立して困難に直面していた。結果として、小川議員の頑張りと市民の力で全面的な勝利となるが、もう一つ、私が東京から発射した二発の遠隔操作の「紙爆弾」の威力がその闘いを支える一役を担った。
  問題の共産党議員の発言の誤りに気づいた議長と議会運営委員長が協議を打ち切る形でケリをつけたが、その間、議会運営委員会は二ヶ月以上も迷走した後、当の共産党の議員は議会運営委員会をかき回す"不当な影響力"を剥ぎ取られ、九電議員は誤りに気づいて発言を取り消して陳謝して決着した事件だった。
  この事件では、私の「紙爆弾」の破壊力と説得力を広く世に知らしめたが、鹿児島市議会の議会運営委員会の正常化に一役買った形となったのは、「議会制民主主義の申し子」と言われた私にとっては望外の喜びであった。私の製造する「紙爆弾」が市民派議員の苦境を救った例は数々あるが、「能紙爆弾」には、私の著作同様に闘う姿勢の原則とテクニックを満載してある関係上、全国の市民派・革新派の指針になるはずと自画自賛している。以下、五年前の遠隔操作の「紙爆弾」に安全装置をつけて掲載する。


 鹿児島市議会に市民常識を! (2003.08.05発射)

 鹿児島市議会の本会議で行われた小川みさ子議員の発言を巡って議会運営委員会が混乱している。騒ぎの発端は九電議員の三反園輝男議員の言いがかりである。
  言いがかりをつけられているのは小川議員の個人質問(一般質問)の中の活字にして数十字の部分。小川議員は一般質問で、「原発現地への児童生徒の遠足と交通局のあり方」について質問通告し、その中で市民の意見と自身の市民的な感覚で、見学者に対する九電の露骨なサービスを取り上げ、その対応を批判して次のように意見を述べている。
「原発推進のためには、子どもたちにまで無料のパスやお弁当、そしてお土産でだまさなきゃならないのか、と情けなくなりましたー」。
   どの企業も事業にプラスにならない、つまり何も見返りが期待できないサービスなどあるわけがないと考えるのが普通の市民感覚で、小川議員の発言はその感覚そのものである。 議事録を仔細に点検しても、小川議員に非は認められないのに、九電議員は自らが副委員長を務める議会運営委員会にこの発言を持ち出し、「何を根拠に(九電が)だましたと言っているのか」と、小川議員に不当な攻撃。
 こんな場違いな質問に答える必要もないのに小川議員が答弁し、延々と平行線のやり取りが続いていた。
 仮に小川議員が九電の名誉を傷つけたというのなら、懲罰動議でも提出して懲罰特別委員会を設置して審査すれば済むことである。

 質疑と質問を混同する低レベル

  一人、あるいは数人の議員が他の議員の発言に不満を持ったからといって、この程度の発言を議運の議題にして堂々巡りのやりとりを延々とやっている議運の運営は、他のまともな議会に比較して極めて異常。一人当たり八千円の日当がドブに捨てられているようなものである。
 小川議員が意見を述べながら質問を展開しているのは当たり前のことだが、「市民派女性議員憎し」で凝り固まった自民、民主と九電議員が、会議規則の五十四条の規定を持ち出して、「質疑に際しては自己の意見を述べてはいけないとなっている」と的外れなケチをつけ、共産党も同調しているとしか思えない。議員を何期やっているのか? 質疑と質問の違いが分かっていないところがお粗末である。
 共産党までが、議員の発言の場を狭めようとしているのはいただけない。鹿児島の共産党は他市の同党議員と異なる資質を持っているのか?  原則的に自己の意見を述べてはいけない議案の質疑にしても、どこの議会でもほとんどの議員は多少の意見を交えながらの質疑をやっている。それなのに、質疑と質問を混同して攻撃され、カチンときた小川議員が、支持者や友人に送付したEメールに次のように皮肉っぽく書いた。
「質問の前に意見を言うのは、会議規則五十四条に抵触するなどと自民党、民主党、原発反対の共産党議員までもが九電議員のカタを持ち集中砲火を浴びている状況です。川内原発増設反対の社民党、公明党からは攻撃はありません」
 共産党はどこかからこのメールを手に入れ、「議会制民主主義の根幹にかかわるものだ、議運の責任で事実確認をー」と愚かなことを言う。
 会議規則を捻じ曲げて解釈し、言論の府の当然の質問内容にケチをつけることこそ議会制民主主義の根幹にかかわることなのである。

 私信を議題にするのは違法

 平山たかし議員(共産党)は議運で小川議員の発信したEメールを議題にして審査せよとあきれた要求をし、議運の委員長はその要求をう呑みにして会議を招集した。
  今、その両者の良識が問われている。03年7月23日の鹿児島市議会の議運の招請状の協議事項には、「(3)議員のEメールの発信内容に関する件について」と堂々と載っている。  発信者が議員であろうがなかろうが、私信や私文書を公式な場で審査できるとでも考えているのなら、そら恐ろしいことである。
   そんなことが許されるのなら、各地の公明党議員がよく「ウソ旗」と言っている「新聞赤旗」や、他を批判することの多い共産党議員の議会報告も審査が可能になる。その場合は、共産党は黙って屈服して審査に応ずるのだろう。 ところで、自民、民主、共産と九電議員に寄ってたかって攻撃された小川議員は、それを議題とする議運に委員外議員として出席を要請されたが、文書を提出して要請を拒否して反撃に出た。
「議員が発信したものでも、どなたのEメール(私信)でも、議会運営委員会で議題にしてその内容を審査すること自体、憲法(二十一条)が禁じている『検閲』に当たり、『通信の秘密』を公式に暴露することになり、憲法に抵触する行為であります。したがって私は、かかる憲法違反を前提として招集された議会運営委員会には出席するわけにはいきません」
  憲法を持ち出すまでもなく、議会には万能の権限が付与されているわけではない。例え、他の会派や議員を批判的に書いた文書であっても、議会外の政治活動や言論が議会で問題にされることはない。議会運営委員会は設置の目的以外の案件は協議事項とはできないのだ。 地方議会の「伝家の宝刀」と言われる、強制力の伴う「百条調査権」の発動にしても、調査の範囲は「地方公共団体の事務」に限られているのである。
 今、鹿児島市議会の議運が議題としようとしているのは百条調査権をも超える違法な人権侵害であることに気づくべきである。 各地の共産党議員はおおむね市民派と協調しながら闘っているが、鹿児島市の場合、保守派と組んで些細なことで「市民派女性議員いじめ」に精を出しているのはいただけない。 議員は互いに「開かれた議会運営」に努め、政策の違いなどは堂々と議論したり政治活動の分野で相互批判をやればいいのである。
 私信や私文書を公式に議題にするなど、論外である。

 解説と批判 混迷の鹿児島市議会を斬る

 六月定例会中から続いていた、小川みさ子議員の一般質問に対する三反園議員の不当な言いがかりは七月に入ってからも議会運営委員会で続いていたが、八月四日の議運の席で三反園氏は自らの非を認めて正式に陳謝することで決着した。 議運の日高あきら委員長の能力に問題があるのか、各委員は言いっぱなしに聞きっぱなし、誰かが口にしたことが自動的に全体の議題となる、極めて不思議な委員会運営が混迷の最大の原因と指摘することができる。 ところで、三反園氏の問題は同氏の陳謝で一件落着しても、それで正常化といかない次の難題が残っているのである。

 私信の調査要求は人権無視 平山たかし氏の勘違い 

 混乱続きの会議の中で飛び出した平山たかし氏(共産党)の問題発言と、その発言を容認した日高委員長の無策が委員会の混迷に拍車をかけている。
 〇平山議員の問題発言の要旨(議事録抜粋)「(小川議員が)Eメールを昨日家に帰って送られたということは、公式の会合で明らかにされた。
 1. Eメールの内容については、明らかにしていただきたい。
 2. 審議途中で、しかも議員が問題提起していることについて、そういう形で発信されるならば、私はまさに議会制民主主義の根幹にかかわることであるとおもう。(中略)
 3. 場合によっては、発言封じである。少数派として、言論の自由を絶対に守るという政党としては、絶対に許されない行為である。そういう意味で、
 4. 今の(小川議員の)Eメールの内容について明らかにしていただきたい。
 5. ぜひ(Eメールの内容の)事実関係の調査を議運の責任においてやっていただきたい。(中略)㈮市民の前に議会として明らかにしていただく方策を提案する。

 平山発言の①④⑤⑥の問題点

 平山氏は小川議員個人のEメールの内容を公式会議の中で明らかにするよう要求した。さらにその内容を議運の責任でやれと提案した。これは憲法二十一条「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」と定めた規定に違反する無謀な要求である。
 国家権力でさえ禁止されている行為の例外として私信の検閲権があるのは、監獄法施行規則で在監者の信書の検閲を義務付けられている刑務所長くらいである。それを議会がやれるとでも思っているのなら、そら恐ろしいことである。
 また、議会運営委員会には設置の目的があり、それ以外は議題とすることができないが、鹿児島市議会は今まで、何でも議題としてきた。その悪弊のウミが、この一件で噴出している感がある。
 平山氏は「議運の責任で調査をー」と主張した。議会の調査権は強制力の伴う「百条調査権」があるが、この調査権の及ぶ範囲は「地方公共団体の事務」に限られ、民間団体や個人にまで及ぶものではないし、議運にその権限があるわけではない。
 市議会各会派は議員個人のメールの内容が気に食わないからといって議会の調査項目に上げ、「(事後)検閲」し、「信書」の内容を公式記録に載せて市民の前に公表できるとでも考えているのか。それとも、議会には万能の権限があるとでも思い上がっているのだろうか。

 平山発言の②③の問題点

 審議中の件を私信に書くのは「議会制民主主義の根幹にかかわり言論弾圧」と主張するが、会派間の非公式接触中の内容を不特定多数に配布するビラなどに書くのは信義上の問題があるが、公式会議中の出来事などを特定個人宛の信書に書くことがなぜ、議会制民主主義の根幹にかかわり言論弾圧になるのか。
 共産党議員団は議会で継続審議・調査中の案件などは一切「議会報告」に書かないというのか?
私信も「書くな」と公式の場で主張することこそ言論弾圧ではないのか。
確かに小川氏のメールの一部には質問のあり方を巡る平山氏の姿勢を皮肉っぽく記述した部分がある。だが、「原発反対の共産党--」とあり、原発賛成などと逆に書いて名誉を傷つけたわけではない。
「市民派女性議員憎し」の感情が根底にあるのか、憲法と地方自治法を無視し、平山氏は重大な過ちを侵していることに気づき、発言を撤回すべきである
 護憲政党(と私は思っている)所属政党のためにもそれは必要である。

 委員長に重大責任

 会議を整理して進行させるすべをご存じない日高委員長は、誰かが発言すると、内容にかかわらず、ずるずると成り行き任せに勝手な発言を許している。その揚げ句、協議事項に「議員のEメールについて」などと設定して会議を招集している。
 これでは、違法な言いがかりをつけられている側が会議の招集に応ずるわけにはいくまい。
 そこで小川氏は七月二十三日の会議に出席しない理由を文書にし、会議の正常化を議長と議運の委員長に申し入れたが、当日の会議では意図的なのか?
 その文書の内容が委員に説明されなかった。 議運の協議事項の設定は違法である。この状態が続くのであれば、小川氏は「人権侵害の申し立て」などの法的な対抗手段を考えざるを得ないだろう。
 自浄作用の働かない、この、"治外法権的"な議会の原状を市民は知っているのだろうか。 
 (注・この「紙爆弾」は着弾と同時に大量のコピーとなり、たちまち市役所の中から巷にあふれ出  し、市民の声が小川氏を支える一助となった。議会の雰囲気もガラリと一変したと聞く。そして次なる二発目の発射となった。)

 「Eメールの調査」は行われず        (2003.8.26発射)

 憲法上の疑義で協議打ち切り、勇気の発言取り消しと悪あがき 

 鹿児島市議会の三反園輝男議員が六月以来、議会運営委員会で小川みさ子議員の質問内容を批判的に取り上げてきた問題で、発言の全部を八月四日の会議で取り消して陳謝した。 公式発言を取り消して陳謝するのは勇気と決断が要るもの。勘違いがあったようだが、誤りを認めて取り消した行為は評価に値する。
 何ともいただけないのは共産党の平山たかし議員で、小川みさ子議員に対する同氏の人権侵害発言はいまだに取り消されず議事録に残っている。
 平山氏はこの発言で多くの市民と全国の市民派の人々のひんしゅくを買っていたが、八月四日の会議でも同趣旨の発言を繰り返して恥の上塗りをしたのである。
 例え議会内のやりとりでも、何かに事実誤認の記述があるのなら、訂正を申し入れるか、それが受け入れられなければ訴訟しかないのに、議会運営委員会の責任で私信の調査をしろと要求する非常識ぶりである。
 八月四日の会議で平山氏の調査要求に積極的な同調者が出なかったのは当然で、鹿児島市議会だけでなく、地方議会総体の名誉を考えた場合のわずかな救いである。

 平山氏は小川議員の憲法と地方自治法の解説面から理論構成した反論(注・全て私が組み立てたもの)に遭い、「私はEメールの中身を聞いていない」と、一転してそれまでの主張を否定した。
 誤りに気づいたのなら取り消して陳謝をすべきだ。
 この後、小川議員からEメールを議題とすることに抗議の申し入れ文書を受け取っていた長田徳太郎議長が、「憲法論議を含めた議論が出てくると、当然議論がかみ合わないのではないかと思うー」と平山、小川の両氏に一定の配慮をする形で会議を終結の方向に誘導した。 これはさすがに議長としての見識である。議会事務局長も「平山氏の要求は議運で扱うには憲法上の問題がある」と助言していたのかもしれない。

 政治的配慮の決着で協議終結宣言

 日高委員長も事前に正副議長や事務局長と打ち合わせて同じ認識を持っていたのか、平山議員の立場に"政治的配慮"をしたのか、「他に本件(Eメール)について(意見は)ないか」と会議に諮り、「なし」の声だけなのを確認し、「それでは、本件については、協議を終わらせていただく」と宣告した。(中略)
 平山たかし議員には市の内外から抗議や批判(激励も?)殺到していると推察する。
 それがあるからか、正副議長や正副議運委員長に「自分の名誉はどこで晴らせばいいのか」と喚き散らしているとの話がある。 
 それが事実なら、名誉を回復する方法はただ一つ、人権侵害の事実を率直に認めて発言を撤回し、陳謝することである。現に三反園氏は発言を取り消して評価されている。「(争うのなら)民事訴訟しかないでしょう」と忠告した議会事務局長に八つ当たりしているとも聞くが、公務員には憲法遵守義務があるのだから、議会の幹部職員として正しい方法を教えたのは仕事に忠実な証である。
 その人物に八つ当たりすること自体、非常識。議会を正常化の方向に導こうとする議会事務局を権力で押さえつけるようなことを共産党議員がやるなんてー。

 恥ずかしながらの自己紹介

 私は99年まで東京の武蔵村山市で七期、議員を務め、一人会派ながら徹底した調査と追及で「デスマッチ議員」と恐れられていた。 
 不正・腐敗を暴いた実績と、市長・助役四人を引責辞任に追い込んだ理詰めの追及の迫力では全国に並ぶものなしとの自負がある。
 その原動力となったのは三回の実力行使で獲得した、完璧なまでに保障される発言権と、徹底した情報公開の制度である。
 その闘いとは、
〇 議会運営委員会で突然、一般質問の時間制限が行われたとき、実力でその採決を粉砕した闘 い。
〇 本会議で質疑打ち切り動議を出され、ただちに抗議して実力で本会議を止め、動議を撤回させた闘い。
〇 決算特別委員会で米軍横田基地関係の資料の提出を拒否されたのに抗議。委員長席を占拠して委員会を粉砕し、全会派を巻き込んで完勝した闘い。

 いずれも最初は一人の闘いだったが、最終的に完勝し、その成果は全国有数の「開かれた議会」として今に引き継がれ、「原則公開」と「知る権利」を保障し「何人にも」公開され、もちろん意思形成過程の文書も対象となる公文書公開条例となっている。
 今、改めてこれを書く理由は、この三回の実力行使の混乱の中で、私を支える立場を鮮明にしたのは、共産党と公明党だったということを言いたいからである。
 彼らの支持がなければ、体を張った緊迫の場面で多分、議席を剥奪されただろう。私は、閉鎖社会を切り裂き、議会改革を共にした彼ら二政党に対する信義があるがゆえに、個人批判はするが政党そのものに対する批判は差し控えている。これは政治信条である。それだけに、もっとも深い各種の共闘関係にあった政党にダメージを与えたくないとの思いから、平山氏の身の処し方を注視している。
  人間は誰しも、間違いや錯覚はあるものだが、後の処置で評価が定まるものである。人権侵害に遭った小川みさ子氏の名誉がこのまま回復されないのでは、私が全国の市民派の思いを胸に、代々木に乗り込むことも考えなければならない。かつて、共産党の大演説会場の演壇に不破委員長(当時)と並んで立ち、市民派・革新無所属の立場から演説をやり、市民派と共産党の共闘を演出したことのある私を中央委員会が門前払いで追い返すだろうか。 
 社民党は鹿児島市議会に六議席あるという。平山たかし議員から人権侵害の被害を受けている小川氏を「護憲」の立場で擁護し、「誤憲」の平山氏をたしなめてくれるだろう。 
 人脈豊富な私には、友人の一人に今や知名度抜群の民主党代表の菅直人氏がいる。彼とは彼の無名時代からの旧知の仲である。
 その菅直人氏は社民連の頃から、「地方議員に当選した議員は、最初にふくおひろしさんの著作を読みなさい」と勧めていた。それは市民感覚が共通していたからである。
 民主党はリベラル派と保守派が混在しているが、鹿児島市の同党議員がリベラルなら、今回の人権侵害事件では平山氏批判の立場に立たなければならないと思うのだがー。
 (以下一部省略)
小川みさ子議員に激励の声を!